官邸の意向で動く橋下松井コンビと国会の与野党攻防戦で民主党との連携強化で安倍政権を追い込みたい松野柿沢コンビの軋轢。まぁ同じ党にいること自体全くありえないほどの路線の明確な差。とっとと別れたらいいと思う。菅氏の尖兵でしかない二人に未練がましい松野氏の発言もあのみんなの党の渡辺代表の二の舞になるのでは?と危惧する。悪魔に魂を売り選挙互助会に安易に入った代償はかなり大きい。
橋下新党、不満と不安で大阪回帰 まずダブル選に照準
宮崎勇作、藤原慎一 渡辺哲哉、星野典久 2015年8月30日5時8分
「橋下新党」が大阪回帰する背景には、橋下徹大阪市長らが民主党との連携に傾く維新の党執行部に抱いた「不満」と、11月の大阪府知事・大阪市長選に向けた「不安」が同居している。維新は通常国会後に分裂。松野頼久代表の勢力は秋にも民主党との再編をめざす。一方、橋下氏と気脈を通じる首相官邸は、将来の憲法改正で橋下新党との協力も期待する。
「大阪維新の会の政治理念、政治信条を共有し、死にものぐるいで改革をやっていく国会議員のグループを作りたい。最後の挑戦をやっている」。橋下氏は29日午後、大阪府枚方市内での街頭演説で叫んだ。
橋下氏と松井一郎元顧問(大阪府知事)が突然の離党、新党結成を宣言した理由の一つは、民主党との野党再編をめざす維新の現執行部への不満だ。
「民主党とくっつくために維新を作ったんじゃない」。安倍政権幹部によると、松井氏は最近、こんな不満を繰り返しぶちまけていたという。
元自民府議の松井氏は自公政権と連携を深めるのが基本戦略。民主との野党再編に傾く松野代表への不満を蓄積させ、分裂のきっかけを探っていた。辞任要求した柿沢未途幹事長の続投が決まった27日、自らに近い衆院議員に「このままでは絶対に済ませない」と語った。
25日に松井氏と会食した菅義偉官房長官も松井氏の心中を推しはかり、周辺に「維新は第三極でないと生き残れないのに、松野代表は民主党に寄りすぎだ」と語った。
橋下氏も同じだ。大阪市の改革や「大阪都構想」では、民主の支持基盤の労働組合から強い反対を受けた。首相や菅氏と6月14日に都内で会談した直後もツイッターで「民主党という政党は日本の国にとってよくない」とまで批判した。
橋下氏は8月初旬の記者会見で「政権交代をめざす野党が必要だが、維新の党だけでは無理。民主党、特に政府に入った経験者などが引っ張っていくようなグループができないとダメだ」と語ったこともあった。だが、百歩譲って民主と合流する場合でも、労組に支えられた勢力との決別は大前提で、民主とまるごとの連携はあり得ない選択肢だった。
もう一つの理由は11月の大阪府知事、大阪市長選の「ダブル選挙」への不安だ。
「ダブル選直前に新党を設立すると盛り上がりますね」。橋下氏は28日夜、自身が代表を務める地域政党「大阪維新の会」の幹部会議で、新党についてこう語った。直後の全体会議では、ダブル選に独自候補を出し、大阪都構想を公約に掲げると確認した。
大阪都構想の住民投票を受け、橋下氏が政界引退を表明。橋下、松井両氏には地元の大阪で「維新」の存在感が低下することへの危機感があった。橋下氏を柱に「大阪」を冠した新党を結成して、ダブル選へ大阪府・市民の期待感を高めたいという狙いがある。
さらに狙うのは、ダブル選での自民党と公明党の分断だ。新党が次の衆院選で、公明党現職がいる選挙区に候補者を出す可能性を示唆することで、公明と自民との選挙協力を牽制(けんせい)する狙いもある。
実際、14年の衆院選でも橋下氏自身が公明現職の選挙区に立候補する構えを見せ、都構想の住民投票の実施へ公明の協力を引き出した。橋下氏に近い衆院議員は「大阪維新が国政政党になれば、公明にとっては怖い存在だ。官邸とも近いから公明も気を使わざるを得なくなる」と語る。
橋下氏は、安全保障関連法案をめぐり、維新の執行部が与党との修正協議より、民主との対案作りに力を入れていることにも強い不快感を持っており、離党、新党結成へ背中を押す一因になった。
ただ、維新内からは新党について「自民党の補完勢力になって先細りするだけだ」と否定的な見方がある。(宮崎勇作、藤原慎一)
■松野氏らと連携探る民主、「改憲」連携に期待する官邸
「『党を割らない』と言ってくれたのに、発言の真意が分からない」。維新の松野代表は29日、橋下氏の突然の新党結成に戸惑いを見せた。柿沢幹事長は「(橋下氏に近い議員が)官邸と手を結び、野党を分断しようとしているのなら反党行為だ」と批判した。
松野氏は、柿沢氏、江田憲司前代表ら民主や旧みんなの党出身の20人超の国会議員が、民主党と合流する野党再編構想を描く。民主も橋下氏に近い関西地盤の議員がいなくなれば「中間派の議員は行き場がなくなり、まとめて合流してくれる」(幹部)と計算する。民主の岡田克也代表は27日夜、江田氏、松野氏と東京都内で会談し、「今後も野党再編へ認識を共有する」ことを確認した。
だが、民主と維新の松野氏に近い勢力が合流しても、世論の支持を得られるかは未知数だ。民主幹部は「しょせん旧民主が集まった『同窓会政党』。国民の期待が高まると思えない」とみる。
一方で、首相官邸には「橋下新党」への期待感がある。
菅官房長官は29日、那覇市内で記者団に「会期中なので冷静に推移を見守りたい」と語ったが、安倍晋三首相はもともと橋下氏と教育改革や憲法改正について考えが近く、交流を深めてきた。首相が1月、関西テレビの番組で「大阪都構想には意義がある」とエールを送ると、橋下氏は「うれしくてしょうがない」。首相が掲げる改憲にも「できることがあればなんでもする」と語った。
最近では、官邸内から「維新はもう割れた方がいい」(政府高官)との声が漏れるようになっていた。大阪都構想は5月、住民投票で反対多数となり、橋下氏は任期満了での政界引退を表明。民主と連携をめざす松野代表の下では、7月の安保関連法案の衆院採決で期待した維新の協力を得られなかったからだ。
首相側は維新の分裂後、当面は静観しつつ、橋下、松井両氏ら関西地盤のメンバーとの連携を探る考えだ。橋下氏が中心の党ができれば、いずれ国政選で勢力を盛り返すとみる。政府高官は「橋下氏が国政選挙に出れば絶対に勝つ。そうなれば協力して憲法改正ができる」と期待を込める。(渡辺哲哉、星野典久)
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■維新の党の内紛の経緯と今後の主な日程
8月14日
維新議員が、山形市長選の立候補予定者の支援をめぐり柿沢未途幹事長に辞任を要求
20日
25日
柿沢氏と松井氏が大阪府庁で会談。柿沢氏は辞任を拒み、物別れに
橋下徹最高顧問(大阪市長)が松井、柿沢両氏の公開討論による問題決着を提案
松井氏が菅義偉官房長官と会食
26日
松井氏が顧問の辞任を表明
27日
橋下、松井両氏が離党を表明
28日
29日
橋下氏が大阪府枚方市内で新党結成を正式表明。大阪を選挙地盤とする国会議員と会合
30日
枚方市長選投開票
9月8日
自民党総裁選告示
9月27日
通常国会会期末
11月22日